アッシュアームズ攻略wiki

アッシュアームズの攻略情報まとめwikiです。最新情報やキャラやスキルのデータベース、最強キャラやリセマラおすすめランキングも掲載しています。

世界に関する設定資料

世界の資料

アッシュアームズの世界に関する資料をまとめています。ゲームの世界観やストーリー、時代背景、登場人物などの設定を知りたい方は読んでみてください。

災獣とは

「災獣」Part1/2

実は「災獣」以外にも、この奇怪な災害現象には別の呼び方がたくさん存在しているが、「災獣」の呼び方が一般的に浸透しているため、非学界機構の公式部門も様々な広告で広く使われている。

もう一つ学界で広く使われていて、私も個人的にいいと思っている名前は「Resetter(リセッター)」、この名前はすでに出処不明な資料から由来している。資料の作者は既にこの世にはいないかもしれないが、彼の知識は引き継がれるのだろう。

これは二世紀を渡り、人類に取り濃いた悪夢だ。この悪夢はあまりにもリアルすぎて、私たちはその前では、あの言葉を忘れたかもしれないー一恐怖は未知から来たる。この街で、私みたいに災獣を勉強し、研究する者は多くはないが、少なくもない。

ただ私は、あの人たちと少し違う。多くの研究者たちは災獣に対抗する方法を研究している、それが大半無駄なことだと分かってでも。だが私は災獣自身に……興味がある。

「災獣」Part2/2

多くの人は災獣を動物だと思っているかもれしないが、実際、災獣の体を構成しているの主な物質は岩だ。その岩たちは不思議な動力に支えられ、移動している。生物というより、一種の「現象」に近い。

災獣を災難にした本当の原因は「絶縁層(シールド)」と言われている、、、表皮一一この言葉は適切ではないと自覚している。私はいろいろな物質を災獣に投げるのを試みた、ほぼすべての物質は絶緑層(シールド)と接触した後、不思議な光を放った後消えた。槍などを使っても、残るのは半分の柄だけだ。

強固で粘り気が強い、硬くて柔らかい、虚無で充実。液体でもなければ、固形物でもない。幻のようなのに、すべての物を拒絶している。この物質を突き抜ける剣、矢、あるいは砲弾など、人類には存在しない。少なくとも「DOLLS」が誕生する前にはなかった。

だから災獣が出現すると、私たちに隠れる以外、対抗できる術はなかった。但し、多くの人が聞いた噂の説と違って、災獣は人が思っているほど、積極的かつ活発的な「狩猟者」ではない。大規模な活性化の場合でも、災獣の行動は侵略性が満ちているわけではない。あいつらはいつも目的をもって破壊活動をしている。

特に機械、機能性建築を標的にしている、人間はその次だ。絶縁層(シールド)のせいで、災獣に接触されると壊滅的な被害を受けるが、あの鈍い石の塊達には十分な運動能力がなく、赤ちゃん以外の人間は簡単に避けられるだろう。

そして、人間が逃げ散ると、すぐに興味を失い、引き続き機械や建築物を「呑込む」。一つの都市の掃討が終わると、災獣はただ静かにその場に立ち尽くす。そして「劣化」過程を経って、普通の石の塊に戻り、崩れ落ちる。

Cityとは

「City」Part1/2

このご時世でも、私は旅行と考察に酔心していて、自分の故郷が恋しいと思うことがほとんどない。だが、故郷の事を知らないわけではない。私たちのようなある程度の年を取った人にとって、「世界」に対しての記憶は今の人達と違う。

私が生まれる前の時代十九世紀前半、「国家」という概念は永遠に失われた。大型の都市は災獣の標的となり、廃墟となった。五百年前疫病から避難したように、人類は再び災難に屈服した。災獣から逃げるために、多くの人が故郷を捨てざるを得なかった。集落地がひとつひとつの小さい村に分割された。

「City」Part2/2

集落化は有効的に災害の被害を緩和し、人類はなんとか生き延びた。そして、「灰燼教会」という組織が創立されてから「ここ」の状況がやっと変えた。災獣に気づかれず、侵攻されない都市、それはあまりにも、魅力的な言葉だ。その時から、大勢の人がここに移住して来た。

そして、数十年という月日が経ち、この都市は雲にも届く高い建築群、便利な交通網と巨大な農業地帯を有するように発展した。あっという間に、直径が400キロ超える巨大都市に発展し、人口も一億近くになった。

コミュニティ、街道、市場、病院、下水、治安と言った物も少しづつ戻って来た。私が物心がつく前に、電気までも回復した。この巨大都市の名前の由来は実にシンプルーー全員が納得するような名前が見つからないから。最後はみんなで一番わかりやすく、「あの町」みたいな呼び方に決めた--「City(シティ)」。

少し考えたらわかることだ、「City(シティ)」は無限に人を保護できるわけがない。ここを覆いつくす私たちを守る見えない壁もきっと限界の範囲があると自分は思う。多くの人が続々とここに移転して来る、後から来た、仕方なく辺縁地帯に拠点を建てた人は随時に発生する災獣の侵攻を直面している。今の「City(シティ)」は、温かくも、棘が生えているハグのよう。全ての人をここに閉じ込めた。

共生種とは

「共生種」Part1/2

災獣について、特にその起源、進化、行為、能力など、私は大半の人より詳しいと思う。ただある特殊個体についてはまだ知らないことだらけだ。何年経っても、私はそれら(あるいは「彼女達」?)に強く興味を持っているそれが「共生種」だ。

一般的に認知されているのは、共生種はCity(シティ)の周辺の異常地形や気候の元凶と言われていることだ。ただし、それ以外の情報は一切不明確。一番気になるのは、共生種は同時に「大衆に熟知されているミステリー」、お茶の間を沸かす名詞であり、「災獣」より口にする頻度が高いということだ。

隣人や、街の新間屋、あっちこっちに走り回る運送隊員は各種の暖味な政府のお知らせから情報を読み取り、あなたにこの怖い隣人が一体どれほどの災難を起こしたか、まるで自分が現場にいたかのように述べてくる。そのせいで、私が各学連からの依頼を受け、共生種の調査を始めようと決定したとき、私のところで数年働いた従者が翌日辞表を呈して来た。

ただ、それだけでは私を止められなかった。私にとって、リスクより、「共生種は一体何ですか」と聞かれた時、なにも答えられないほうがよっぽど辛い。人類が初めて共生種と接触した時はおおよそ30年前。あの時、初代のDOLLSが実戦に投じた間もなく、その後、災獣は天変地異とも言える、劇的な「進化」を遂げ、さらに攻撃的になった。その中、変な方向に進化した例もある。

その中には最初に「人型災獣」の目撃報告も含まれている。但し、明らかに人型は戦闘に不向きの構造だ、その女性の形をしていた災獣はその後「深淵の底」(備考1)の武装シスターに射殺された。そして状況もさらに変化が起きた一ーあの事件後、すべての新しい目撃情報に人型災獣は「護衛」と一緒に出現したと記載されている。

さらにまずいのは、その危険性も本来体形を基づく計測方法をはるかに超えた。私はそれらを同一個体の二部分として見る一一「人型」と「共生体」だ。「共生種」という呼び方もその時から始まった。「人型」と「共生体」の共存関係を示す以外、それらの行動は元の災獣分類から独立し、新しい体系となったのを意味する。

※備考1:灰燃教会に属す討伐組織、謎が多く、名義上は基礎級以下の小型災獣を駆除する組織だが、時々他の「秘密任務」も行う、正直言って私は彼らが嫌いだ。

「共生種」Part2/2

「人型」が出現した原因について、私は「擬態」と解釈している一一生物学者にとって、これは魅力的な単語だ。枯葉や蛇の頭、さらに鳥の糞のような蛾や、地衣植物のような機織虫、そして花のような堂郷。類妹が蟻の頭のような小顎が生えたり、巨大なワニガメがミミズのような下で獲物を誘ったり、そして牡娠が小魚のような外套膜を揺らし、大きな魚に呑み込ませて、幼虫を寄生させたりする。

もしあるアンコウの食事リストに人類が含まれたら、魚釣り用の触角に美しい肉体になるように進化するのもおかしい事ではない。災獣にも「器官」のような構造はあるのは知っている、その構造は行動、エネルギーを製造、そしてビームを出すのに使われている。

そして今、その器官はそれらの敵と同じような外見を作り出した。その「少女のような器官」は共生種の強大な戦闘力や私たちの既存認識を覆した「ある能力」の源かどうかは少なくとも現在ではまだ結論が出ない。もちろん、共生種は巷の噂のネタになった要の原因は「あの能力」だ一一彼女達(備考2)は簡単に地形や天候をコントロールできる。

その範囲の広さ、影響の大きさは過去百年に一度も記録されたことないほどだ。その能力を生み出した理由を解釈するのは難しい。実際、知妹が巣を作るように、City(シティ)の周囲にいる数名の共生種は微妙な距離を取り、自分の拠点を構えた。いくつの数十万平方キロに渡る異常区域が、私たちの家を囲んでいる。まるで彼女達がここを災獣が望む形にしているかのように。

環境の異常化の進行が非常に速かった。数年間で、City(シティ)の周辺の土地は人間が住めない土地になり、数えないほどの辺境住民が中心区域に移動しないといけない、それは各学連に大きなプレッシャーとなった。だから、各学連は各自異常区域の討伐を行ったが、あまり成果が出なかった、同時にそれ以上有効な情報も得られなかったため、その負の循環のせいで、放っておくしかなくなった。

※備考2:熟慮した後、この言葉を使うと決めた。

3年前からの手紙

「うつ病」Part1/2

私はこれまで災獣の生態学上の知見について右に出る者はいないと自負して来たが、細部まで思考を巡らせていくうちに、災獣の構成原理では、彼らの示す複雑な形態を形作ることはできないはずだということに気付く。それはもちろん、数十億年という歴史を擁する地球上の生物、ひいては我々一食物連鎖の頂点に立つ人類には遠く及ばない。

たとえ化石を通して生物の結合のメカニズムを模倣することができたとしても、絶緑層の下でようやく正常に作動することができる程度の、贋作にしか過ぎないのだ。多くの場面で、災獣は我々が提唱して来たどの分類学にも当てはまらない振舞いをみせる。攻撃手段という、軍事的な側面からの定義は進んでいるが、共生種に対してはその限りではない。

私も実際にこの目で見たわけではないが、調査からは「彼女たち」が複雑かつ、高等生物に類似した構造を持っていること。もっと言えば、信じがたいことに、人類と同じ外見を持っていることが示されている。他の単純な形態を持つ災獣と比べた時、共生種というのはあらゆる観点からみて、酷くちぐはぐな概念だ。この危険で、悪意に満ちた存在を、無理やりに災獣の範晴に押し込もうとしているに過ぎない。

私としては災獣がこの極めて短い期間に、これほど飛躍的な進化を示した事実を、到底受け入れることはできない。これら全てはあらゆる常識と学説を否定しており、きわめて危険な兆候でもあろう。この不条理な現象がある日制御不能に陥り、我々の破滅に繋がるのではないかと、恐ろしくてならないのだ。

「うつ病」Part2/2

こういった探求の只中において、私は何度も、抱えきれないほどの疑念と忌避に突き当たった。人々はそれを信じることを拒み、あまつさえ話題を口にすることすら嫌った。だが共生種というパンドラの箱はすでに開かれているのだ。我々が恐れてその究明に動かなければ、どうやって最深部にある希望を掴み取ることができるというのか。

私の研究は早い段階で行き詰まったが、簡単に諦めることもできないまま、結局数年ごしに我が家に戻った私は、そこでひきこもりのような生活を送るようになった。飛ぶようにして時が流れ、落ち込んだ精神状態のまま一体どれだけの時が過ぎたのか、それすら暖味になっていった。

私はタバコとアルコールによって自己を麻痩させ、数少ない覚醒した時間を、狩猟に没頭することに費やした。獲物を手に入れると決まって、私はこの精巧な生命について、この湯気を立てる血肉について、思いを馳せた。それから、彼らを包むこの宇宙の起源についても。

そんな日々が、狩猟という行為にすら飽きるまで続くのだろう。あるいは、この世の終わりがやって来る、その時まで。

「遅れた手紙」Part1/2

いつものように狩猟から戻ると、家の前で郵便配達人が私のことを待っていて、一通の封書を私に手渡した。それは三角形の封職で閉じられた、凝ったつくりの手紙だったすでに今では人々に忘れ去られてはいるが、私はそれが、ユンカーズ家の徽章であるにとを覚えていた。敢えて誇るような話ではないが、私の父とユンカーズ家の間には、ずっと親交があった。私も若いころに彼らの元を訪ねたことがある。年上でありながら親身に接してくれるユンカーズ教授と言葉を交わすのは、私の楽しみだった。彼は私が従事している事業と研究内容に高い関心を示してくれ、強く支持してくれた。

その当時、ユンカーズ家はすでにARMSの製造事業を開始していて、同時にCityにおいて屈指の実力を誇るユンカーズ学院の創設も進めていた。しかし、黒十字帝国学連が成立して間もなく、ュンカーズ教授が学院理事長を辞任したという噂を耳にすることになった。

郵便配達人は煩わしそうな表情を浮かべながら、この封書の来歴を捲し立てた。封書の消印は三年前のもので、多くの郵便局をたらいまわしにされた挙句、最後にくずかごへと放り込まれる寸前に彼の上司の目に留まり、この面倒な仕事を押し付けられることになったのだという。私はこの小言を吐き続ける配達人に僅かばかりの「心付け」を握らせることで、やっと家に戻ることを許され、このユンカーズ教授から差し出された封書の中身に目を通すことができた。

ありきたりな時候の挨拶はともかく、その手紙の内容にはひどく驚かされることになった一椅子の上で腰を浮かし、もう少しで酒瓶を倒してしまいそうになったほどだ。その手紙にはあまりにも多くの知らせが詰め込まれていた。停滞して久しい私の研究に、一筋の希望を示すものだった。

「遅れた手紙」Part2/2

「……シュテルマー君、もしかするとこれはただの門外漢が暇を持て余して作り出した、つまらない幻想であるのかも知れません。トマス·モアがかつてユートピアを夢想したように。私はよくこう考えるのです。もし災獣が人類と同じ体と知能を持っているとしたら、中身のない冷たい無機物でなくなるとしたら、私たちと彼らとの関係はどのような発展を遂げるのだろうか?と。

私がそんな考えを持つに至ったのは、恐らくは最近ユンカーズ学院が関与することになった作戦行動の中で確認された、異常な状況が影響しているのでしょう。この作戦に参加したDOLLSが、人類と同じ外観を持つ災獣を目撃したのです一私にはそれが何かを断言する術はありません。もし君があれらの生物に対する研究に、変わらぬ情熱を抱き続けているのだとしたら、彼らに関する調査を依頼したいと思っています。あるいは、それが我々の未来に少なからず影響を与える可能性も、あるのではないかと思うのです。君の返事を待っています。」

私は急いで顔を洗い、酒瓶を片付け、ユンカーズ学院に関する記録に目を通した。この巡り巡って辿り着いた手紙は、私の濁り切った思考を一掃し、調査のための道筋をはっきりと示してくれた。私が予想した通り、ユンカーズ学院は三年前に「廃都討伐戦」に参加していた。City成立以来何度も繰り返された災獣による被害の中でも最たるもので、活性化した災獣が居住区に押し寄せた事件だそれはこの数十年間において、一度も報告されたことのない、初めての事態でもあった。

迅速に目標を攻撃するため、Cityはほとんど持てる全ての火力を投入した。この作戦では「最善」が尽くされたということになってはいるが(疑問を感じるのは当然のことだろう)、居住区は徹底的に破壊し尽くされることになった。教会はやむなく放棄を決め、その区画は人々の間で「廃都」と呼ばれることになった。その時点で、ユンカーズ教授が言及した「人類の外観を持つ災獣」は、すでに廃都に姿を現していたのかも知れないっそしてそいつは私の知る共生種と、何らかの関係がある可能性があった。

私は荷物をまとめると、すぐさまユンカーズ学院へと向かった。

訃報と秘密

ユンカーズ学院までの道のりはそう遠くはなかった。私はすぐに、目的地へとたどり着いた。私としても相応の覚悟はしていたつもりだったが、現実は私の想像を遥かに超えていた。まずユンカーズ教授は、とっくにこの世を去ってしまっていた一私は今一度手紙の端々に垣間見える彼の人柄をしのび、悲しみに暮れた。

ユンカーズ博士は一貫して、戦線拡大に反対する立場を示していた。それが学連内部における人間関係に少なからず悪影響を及ぼし、灰教会もまた、彼に対してあまり良い顔をしていなかったようだ。そういった逆境を受け、ユンカーズ教授は理事長の職位を辞し、政治闘争の舞台から身を引くことになった。ユンカーズ教授がそこまで決意するまでには、相当悩まれたに違いないなんと言っても、ユンカーズ学院には彼の生涯が捧げられているといっても過言ではなかったからだ。

ユンカーズ学院の職員たちの態度からも、私は違和感を覚えた。私が学院の中で情報収集をしようとすると、それがユンカーズ教授に関することであれ、「廃都討伐戦」に関することであれ、学院の職員たちは揃って話すのを避けようとした礼儀正しい態度を維持しながら知らないふりをするか、あるいは冷たい顔で私に学院内部の事情を探るなと警告した。そうやって私が途方に暮れていた時、ある制服姿の若い男に呼び止められた。学院の外で、タバコの火を貸して欲しいと言って来たのだ。

人気のない静かな場所で、彼はある小包を私に手渡した。ユンカーズ教授の封書が秘密の箱だとしたら、さしずめ彼が差し出して来たのは、その箱を開くカギといったところだろうか。

彼は自身をユンカーズの情報官と名乗った。小包の中に収められていたのは、私が必要としていた資料だった一複数の赤い酸化鉄で塗装された巻物だ。そしてその巻物の包みには、「Ju87スツーカ、対話記録」と走り書きされていた。これは「録音テープ」と呼ばれている、ある種の音声を保存することができる発明品だ特に小型化された製品で、電池で駆動する特殊な装置を使うことで、再生することができるのだ幸い、彼はそのための装置も私に渡してくれた。

私が彼にユンカーズ教授のより詳しい事情を質問しようとすると、彼はこの場では控えてほしいと言った。私が知りたい情報は、すべてこの巻物の中に収められているとも。私が礼を言おうとすると、彼はこのことで私が厄介事に、ともすると危険な状態に陥るかも知れないと告げた。しかし真相を知りたいと願う私にとっては、他に選択肢はなかった。

これはすべてユンカーズ教授の指示なのか。私がそう問いかけると、彼はこういった。「ユンカーズ博士が私のわがままを許してくださるよう、願っていますよ。」彼はそういうと、その場から姿を消した。私は取るものも取り敢えず、すぐさま自宅へと戻った。期待と焦燥の中で、私は録音テープを一つ一つ組解き、装置の中にセットして、再生ボタンを押した。

以下に記す内容は、私が装置から聞き取った情報だ。これは三年前、ユンカーズの情報官とスツーカと名乗るDOLLS、それにユンカーズ教授との対話の様子である。

「録音テープ」Part1/6

Ju87スツーカ:お入りください。

ユンカーの情報官:失礼します、スツーカさん。

Ju87スツーカ:こんなおそい時間に学院からお客さんが来るなんて、あなたたち人間はこんなに仕事熱心だったかしら?

ユンカーの情報官:これはあくまで個人的な訪問です。スツーカさん、怪我の具合はどうですか?

Ju87スツーカ:夜晩くに制服姿のまま私なんかとこんな小さな部屋で顔を合わせるなんて、噂になってしまうかも知れませんわよ。下手をすると…

ユンカーの情報官:ユンカー教授の依頼であなたの様子を見に来たんですよ。彼はあなたのことをひどく気にしておられますからね。あとそれから、少し離れて貰えますか、スツーカさん。

Ju87スツーカ:そう?あの毎日仏頂面を貼り付かせている老いぼれが私のことを心配しているだなんて、彼が気にしているのはあの「おばさん」のことばかりだと思っていたのに

Ju87スツーカ:だけど、本当に私のことを案じているのなら、どうして彼自身がやって来ないのかしら?

ユンカーの情報官:ユンカー教授が現在置かれている状況は、いささか……まずいものでして。帝国学連と教会の両方から圧力を受けているのです。ユンカー教授はすでにユンカー学院の中枢から身を引いてはいますが、依然として彼らはユンカ一教授の影響力を危険視しているのです。

ユンカーの情報官:彼の健康状態も心配の種です。学院は医療班を教授の自宅に派遣し、彼の介護を行っています。今の彼は軟禁状態と言ってもよいもので、外で新聞を買うのにも誰かが付き添っている状態なんですよ。

ユンカーの情報官:スツーカさん、どうかされましたか?

Ju87スツーカ:なんでも………けれど、学院はあの老いぼれが設立したものでしょう、どうして今になって彼に対してそんな仕打ちを?

ユンカーの情報官:状況は少しずつですか好転しています、心配することはありませんよ。実際のところ、ンカー教授がその申請を行えば、彼もスツーカさんの元を訪ねることだって可能なんですから。

Ju87スツーカ:だったら、それこそどうして自分で来ないのかしら。

ユンカーの情報官:もしかするとあなたとの関係にできた亀裂は、まだ元に戻ってはいないとお考えなのかも知れませんね。

「録音テープ」Part2/6

Ju87スツーカ:本当のところは、あの老いぼれは私と顔を合わせたくないだけなのでしょう。

ユンカーの情報官:そんな風に受け取らないでください、スツーカさん。ユンカー教授はずっと、あなたのことを実の娘のように思っているのですから。たとえ…

Ju87スツーカ:たとえ、私が彼の理念に適わない作品であったとしても?

ユンカーの情報官:たとえあなたが彼とは挟を分かったとしても、依然としてあなたは彼の誇りなんですから。

ユンカーの情報官:ユンカー教授は争いごとを好まない方です。彼が望んでいるのは、自らが創造したDOLLSが、あのような深淵との関わりから距離を置くことなんです。まさにそのために、あなたに対する彼の感情がこじれてしまうことに一私の勝手な推測ですが、教授自身ですらあなたに対する憂いを解くことができないのかも知れません。そのためにこんな状況に陥ってしまったのかも。

Ju87スツーカ:DOLLSは戦闘のために、災獣を獲滅するために創造されたものだというのに、その生みの親は私が戦うことを望んでいないとおっしゃるの?

ユンカーの情報官:ユンカー教授はあなたが深淵に囚われ、魂を束縛されてしまうことを望んではおられないという意味です。

Ju87スツーカ:あなたたちは私を作り、私に作戦を実行するように仕向けておきながら、その一方で私が職責に没頭することに反感を覚えるというわけですわね。私に対して命令を下しながら、同時に私がそれを購諾することを望むなんて。なんてことでしょう……あなたたちというのは滑稽で、理解し難い方々だわ。

Ju87スツーカ:私払にはあなたたちの複雑な情感を理解することはできませんわね。戦闘中のあなたたちの考えていることの方が、よほど分かりやすいわ。どうして人類が災獣の手の中で生存し続けられるのか、自分たちよりも何倍も強大な相手に反抗でき、あまつさえ勝利を収めることができるのか、私には不思議でした。けれど最近、そんな私にも、ようやくあなたたちが複雑な情感の底に隠している秘密が、分かって来ましたの。

Ju87スツーカ:恨みや憎しみが人類を成長させ、強くさせる。違いますか災獣があなたたちの国家を奪い、あなたたちの愛する人を殺したことで、あなたたちは災獣に対して強い憎しみを抱くようになった。やつらがあなたたちから何かを奪えば、その数十倍の代償を求める。やつらがあなたたちの居場所に現れれば、何百倍もの火力で応じる一自分たちの土地を失うことになったとしても、敵を徹底的に攻撃しようとするの。

Ju87スツーカ:あなたたちには憎しみという強大な感情がある。それこそがあなたたちの武器なのよ。なのにいつもそれを耳ざわりが良いだけの言葉の下に隠して、見せようともしないなんて、本当に…焼いてしまうわ。

「録音テープ」Part3/6

ユンカーの情報官:それこそがユンカー教授があなたを案じていた所以なのですよ、スツーカさん。人類には様々な感情がありますが、憎しみというのは最も望みのない、脆弱な感情の一つなのです。我々は憎しみだけを頼りに今日まで生き延びて来たわけではないし、憎しみがなければ未来を見据えられないわけでもないのです。憎しみは我々の目を曇らせます。急降下していく飛行機のように、最後には自分たちを破滅に導いてしまうのです。

ユンカーの情報官:ユンカー教授の苦悩とは、あなたのその戦闘に対する熱狂と誤解なのですもし彼が憎しみに対するあなたの渇望を知っていれば、彼の苦悩はより増したことでしょう。スツーカさん、あなたは間違いなく教授の誇りです。だから教授は、そのような恐ろしい感情によって、あなたの翼が縛られてしまうことを望んではいないのですよ。

Ju87スツーカ:それは…ユンカーの情報官:お分かりでしょう、スツーカさん。私の言葉は、ユンカ一教授の言葉でもあるのです。

Ju87スツーカ:面白い方だわもうこんな時間じゃありませんか。この部屋で夜を明かすおつもりですの?まあここのベッドでも、体を詰め込めばなんとか二人で横になることもできるでしょうけど。

ユンカーの情報官:そこまで長居するつもりはありませんよ、スツーカさん。ですが、失礼する前に一つお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいですか。

Ju87スツーカ:あら?仕事の虫がそんなことを言い出すなんて、何が知りたいのかしら。期待しても良いのよね。

ユンカーの情報官:前回の作戦で、あなたが遭遇したものとは、一体何です?

Ju87スツーカ:あなたもほんとにお堅いわね!

「録音テープ」Part4/6

ユンカーの情報官:失望させてしまったようで、すみません。

Ju87スツーカ:いいですわ。あなたにそんな期待を抱いた私がバカだったんです。私があれと遭遇した件に関しては、すでに学院と帝国学連の人間に報告済みだから、今ここで私から聞き出したところで、目新しい発見は何もありませんわよ。

Ju87スツーカ:まともに取り合わないのは、あなたも同じでしょうから。

ユンカーの情報官:私のことを知らないわけではないでしょう、スツーカさん。

Ju87スツーカ:ええ、それは分かっていますとも。どこから始めればいいかしら。

Ju87スツーカ:あなたもあの作戦には参加していたし、あなたの知っている部分に関しては、省略されて貰いますね。あなたもあれが写っている写真はご覧になったでしょ。あの巨大な漆黒の触覚に包まれた、オレンジ色に光る水晶のような物体のことよ。飽和攻撃が始まり、私があれに急降下攻撃を仕掛けた時、激しい光に襲われたのです。そして意識を取り戻した時には、私はすでに地上に倒れていました。

ユンカーの情報官:スツーカさん

Ju87スツーカ:あなたにあの感覚がお分かりかしら。自分なら必ず相手を仕留められると、信じて疑わなかったのに。

ユンカーの情報官:スツーカさん…

Ju87スツーカ:けれど私はいともたやすく叩き落とされ、抵抗することすらできないまま……

ユンカーの情報官:それ以上細かく思い出す必要はありません、スツーカさん。

Ju87スツーカ:ふ、ふ。あなたって本当にちぐはぐな方ですのね。私の肩に手なんて置いて。

ユンカーの情報官:これは失礼を。

Ju87スツーカ:謝る必要なんてないですわ。私だってこの感覚は、嫌いじゃないんだもの。私は撃墜されたけれど、飽和攻撃は遂行された。あいつの外殻が完全に粉砕され、それで全てが終わったと思ったの。

ユンカーの情報官:外殻ですね?

Ju87スツーカ:説い方ね、その通り、外殻よ。破片、瓦傑、炎と爆発音の中で、彼女は自らを覆っていた外殻の中から姿を現したんです。

「録音テープ」Part5/6

ユンカーの情報官:彼女ですか。あれ、ではなく。言い切るんですね。

Ju87スツーカ:少なくとも外観上は、あれは人間の女性でしたから私は、災獣があんな形態を示すだなんて話は聞いたことがありませんでした。彼女は私を一警すると、残骸を後に残して、消え失せてしまったの。

Ju87スツーカ:言葉もなく、表情もなく、彼女は……

ユンカーの情報官:スツーカさん、彼女の出現と飽和攻撃との間には、何か関係があると思いますか?

Ju87スツーカ:攻撃のせいで姿を現さざるを得なくなったようには、見えなかったわね。まるで蝶のように姿を変えて、元の体を脱ぎ捨てて姿を現したんですよ。

ユンカーの情報官:つまり、スツーカさんが遭遇したのは普通の災獣ではない、我々の知らないまったく新しい存在だったということですね?

Ju87スツーカ:その驚き方からすると、学院の人間たちと同じように、私が幻覚でも見たんじゃないかと思っているのかしら。教会の審問官のように、これ以上この件についてはロを閉ざすべきとでも考えてらっしゃるの?

ユンカーの情報官:情報官として、分別はわきまえています。私はあなたの言葉を信じますよ。それに、あなたはつまらない嘘を言う人じゃありません。

Ju87スツーカ:ずいぶん買ってもらっているんですね…

ユンカーの情報官:それは間違いなくあなたの美徳ですからね。スツーカさん、あなたの話と、私が持っている情報を整理して、この件をユンカ一教授に報告するべきだと思います。こんな晩くまで手を煩わせて申し訳ありませんでした、スツーカさん。

Ju87スツーカ:もう、突然そんなかしこまらないでくださいな、本当に融通が利かないんだから。気を付けて戻ってくださいね。怖ければ、私の胸の中でそう打ち明けてくれてもいいんですのよ。

ユンカーの情報官:お気遣いどうも。あなたの休息が終わった頃に、またお邪魔します。

Ju87スツーカ:今度は少なくとも花束を忘れないようにしてくださいね、今日みたいじゃ味気ないから。そうだ、それから……

ユンカーの情報官:なんでしょう。

Ju87スツーカ:いいわ。調子が戻ってから、あの老いぼれに直接話しますから。

Ju87スツーカ:(小さな声で)ありがとう。

「録音テープ」Part6/6

ユンカー:こんなに清々しい朝は本当に久しぶりだよ、コーヒーでもどうかね?昨日は休みなしだったようだが。

ユンカーの情報官:ありがとうございます、教授。昨夜はスツーカさんの元にお邪魔しておりました。彼女は順調に回復しているようです。ただ付き添いのスタッフの話では、右足用の義肢の製作を希望しているそうです。「情報」による傷の修復ではなく。

ユンカーの情報官:スツーカさんはあの傷を留めておきたいようですね

ユンカー:彼女が熱狂の中で極端な行動に出ないかと、かねがね心配しているのだよ。あの子はあまりにも単純で、頑固だからね。それで、彼女はあの場で何に遭遇したと話していたかね?

ユンカーの情報官:これが昨夜の内に整理を済ませておいた報告書です。ご覧ください、ユンカー教授。

ユンカー:どれ、老人というのは文字を追うのも時間が必要でね。若者を待たせるのは気が引けるんだが。

ユンカー:君がまとめた情報というのは、すべてスツーカの証言に基づいたもののことかな?

ユンカーの情報官:おっしゃる通りです。昨日のスツーカさんとの面談の録音と、すでに手元にある情報、それから外部から仕入れた資料を総合したものになります。

ユンカー:これまで知られていた災獣は無機物のものだったが、スツーカが遭遇したものは知能を持っているような、人類に近い生命体だった。そして信じがたいことではあるが、先の作戦評価からすると、それもすでに撃破されたはずだった。ユンカー:スツーカの目撃証言がなければ、我々が勝利の喜びに浸っている間に、この恐るべき謎の敵は、まんまと我々の目から逃げおおせていたことだろう。

ユンカーの情報官:スツーカさんの発見は、学連と教会にとっては忌むベきものでしょうね。

ユンカー:彼らに言わせれば、今の人類にとっては真相などよりも勝利と希望の方が重要らしいからね。君の手にある資料は、すべて焼却してくれたまえ。スツーカの元に累が及ばないようにね。

ユンカーの情報官:承知しました、教授。

ユンカー:バカな子だ。恐れの感情を憎しみと勘違いしてしまうなんて。彼女が感じている痛みは撃破されてしまった者のそれではない。落ちぶれた者のそれだというのに。

ユンカーの情報官:スツーカさんは憎しみの感情をカ力の源であると捉えているようです。個人的には、危険な兆候であるように思われます。

ユンカー:だからこそ彼女には君の手助けが必要というわけだよ、お若いの。

ユンカーの情報官:しかし、私が思うに彼女がもっと必要としているのは

看護師:お薬の時間です、ユンカー教授。

最終決定

音声をすべて書き留めると、私は椅子の背もたれに深く体を預け、一つまた一つと書き留めた内容を読み返した。

実際のところ、私は共生種に関する調査の中で、無視しようにもできないある考えに囚われていた。それはまるで幽霊のように私の脳内に留まり続け、常に私を悩ましていた。共生種はどれも都市区域内の環境を改変してしまう能力を持っている。彼女たちはたった「一人」でCityを壊滅させてしまうことも可能なのだ。しかし共生種の態度は慎重だった。あれらはまるで自らの領地を固守する領主のように、私たちの都市を包囲していたのだ。

彼女たちには共通した目的があるようだが、それを巧みに隠蔽している。その冷酷なまでの計画性には、身震いがする思いだ。

廃都討伐戦における知られざる物語に触れた私は、あの形容しがたい考えを表現する術を遂に手にしたかのように感じ、またその一方で、振りほどきがたい啓示を受けたようにも思った。けれどそれもほんの少しの間だけで、更なる疑問が次々と湧き起り、私の考えはその中に埋もれていった。

これら全てと、廃都で起こったこととの間には、何か関係があるのだろうか?

学連と灰燼教会は、どういう目的でこの情報を隠蔽しているのか?

録音テープの中で言及されている、人類の姿をした存在とは、なんなのか?

私は「彼女」たちから、その答えを得ることができるのか?

やはり、廃都を実際にこの目で見るほかない。あそこで、何かが私を待っているはずなのだ。

書き込み

最新を表示する

メンバー募集中

wikiを一緒に盛り上げてくれる共同編集者を募集中です!

参加申請へ